芸能人などの闘病記では副作用の辛さがクローズアップされることが多いように思います。
でも、副作用の出方には個人差がありますし、吐き気などの辛い症状はある程度抑えられることがあります。
これから治療をする方には、副作用を恐れて治療をやめてしまうことのないようにしていただきたいですし、治療中の方で副作用に苦しんでいる方がいらっしゃいましたら、医療スタッフに相談してみることをお勧めします。
妻は吐き気が出やすいタイプのようで、現在使用中の分子標的薬は「比較的吐き気が出にくい」と主治医から言われていたのですが、今回もしっかりと出てしまいました。
ただ、本当にひどかったのは初回だけで、2回目以降は主治医に相談して吐き気を抑える薬を処方してもらい、かなり抑えられています。
妻はこれまで使用してきた抗がん剤でも吐き気が強く出ていました。
一度強い吐き気を経験すると、精神的・心理的な影響で吐き気が出やすくなってしまうことがあるようです。
ですから、ある程度は予測していたことなのですが、主治医から「初回はどのように副作用が出るかが不明なので、予め薬を処方することができない」という説明を受け、無防備なまま突入するしかありませんでした。
初回だけは我慢するしかないようです。
ですが、前述の通り、2回目からは辛さがかなり軽減されています。
適確に薬を処方してくださる主治医で、とても助かっています。
副作用への対処
さて、このブログのテーマである「第二の患者」からは少し外れるかもしれませんが、副作用に苦しんでいる患者ご本人やそのご家族が読んでくださっているかもしれないので、少し参考になりそうなことを以下に書いておきます。
副作用には個人差がある
副作用には個人差があり、症状の程度やあらわれる時期なども人それぞれです。また、治療を受けたすべての方にあらわれるわけでもありませんし、すべての種類の副作用があらわれるわけでもありません。予想される副作用を知っておけば、日常生活で注意したり、工夫したりすることで、症状を抑えられることもあります。
医療スタッフに相談を
吐き気・嘔吐は、治療の副作用はもとより精神的要因も大きな影響を与えることから、治療の前から予防・対策をしていくという視点も求められています。また、実際に吐き気・嘔吐を感じたら、医療スタッフに相談して、症状を和らげることが重要です。
どの様に伝えるか
どのように医療スタッフに訴えれば良いのかにも触れておきましょう。
変化を記録する
まず、体調の変化をしっかり記録することが必要です。
自己管理のためにも、医療スタッフに伝えるためにも、できるだけ客観的な記録を残しておくようにしましょう。
上手に自己管理するには、どのような副作用がいつごろ出やすいかを予め知っておくと、体調の変化に気づきやすくなります。また、外来化学療法中は、体調の変化や副作用の状況について、ご自身あるいはご家族と一緒に日誌形式で記録しておくとよいでしょう。日々の体調の変化を記録しておくことで、客観的に自分のコンディションを把握でき、次の受診の際にも役立ちます。
「ご自身あるいはご家族と一緒に」とあります。
「第二の患者」も副作用対策の一助となることができるということでしょう。
特に、客観的な評価には「第二の患者」である家族の助けが有効かもしれません。
チーム医療の体制が整っている場合
以前、妻が東京の大きな病院に通院していた時は、主治医はもとより、看護師さんや薬剤師さんも一体となって、チームで治療にあたってくれていました。
妻は我慢強いタイプなので、当初は副作用が出ても「これぐらいは仕方がない」と勝手に思い込み、辛い治療となっていました。
しかし、ある時、化学療法室での何気ない会話から、副作用に苦しんでいることに看護師さんが気付いてくださり、「その症状は抑えることができるはずです」という力強い言葉とともに、薬剤師さんを呼んでくださいました。
点滴中の妻のところにすぐに薬剤師さんが来てくださり、症状を聞き出して、それに対処する薬を考え、主治医に具申してすぐに薬が追加されることになりました。
その後は何か心配なことがある度に相談し、辛い副作用は随分と軽減されるようになりました。
チーム医療の体制が整っている場合、主治医に限らず、一番話しやすいスタッフに相談してみても良いでしょう。
地方の病院では
東京ではチーム医療の有り難さを痛感していましたが、現在通院している地方の病院で同じ水準を求めることはできません。
化学療法室のスタッフは、ほとんどが専門の看護師ではありませんし、薬剤師と話す機会もほとんどありません。
慢性的に人材が不足しているこの地方では、中核的な病院であってもチーム医療の体制を構築するのは難しいようで、ほとんど全てを主治医が背負ってくださっています。(この地方には乳がんの専門医が1人しかいないので、その1人が頼りになる医者であったことは、本当に幸運なことだと思っています。)
このような地方の病院にあっては、患者の方も訴え方に気を遣わなければならないと感じています。
どうしても負担が集中してしまう主治医の負担を少しでも軽減するために、あるいは、不運にもあまり親身になってくれない主治医でしたら、なおさら、医者にとって分かりやすい言葉で伝える必要があると思います。
伝え方の具体例
参考として、症状の伝え方が例示されているサイトを紹介しておきます。
治療支援アプリ
この記事の執筆時点では、まだ公開されていませんが、副作用を記録できるアプリが開発されているようです。
現在のところ、上記リンク先の情報だけでは、埼玉医科大学国際医療センターの患者だけを対象としているのか、一般の患者も対象としているのか分かりませんし、他のがんにも活用できるのかも分かりませんが、客観的なデータを把握しやすくなれば、患者にとっても医療スタッフにとってもメリットが大きいと思います。
広く利用が拡大されることを期待しています。