2023-01-01から1年間の記事一覧

現在と過去

妻の実家に菓子を送った。 一周忌に合わせて香典をもらっていたので、その返礼として、妻と買い物に行くたびに買っていたメーカーの菓子の詰め合わせを送ったのだ。 数日経って、義母から電話があった。 体調がすぐれないと聞いていたが、元気そうな声だ。 …

携帯電話の解約

妻の携帯電話を解約した。 もしかしたら妻の知人から連絡があるかもしれないからということを口実にして、解約せずにいたのだが、たまに間違い電話がかかってきたくらいで、まともな連絡は1つも無かった。 妻はLINEもやっておらず、滅多に携帯を使って…

最後の手紙

一周忌から一夜明け、いつもと変わらない日常を過ごさなければならなくなった。 いつものように仕事へ行き、帰宅していつものように過ごす。 寂しさは消えないが、声を上げて泣くことはなく、平穏なふりをして過ごしていた。 そして、毎週のルーティンとして…

1年

妻が旅立って1年が過ぎた。 正式な法要はしないのだが、自分なりに弔っている。 いつもより少し多く花を飾り、妻が好きだった菓子を遺影の前に供え、生前、美味しいと言ってくれた焼きそばを作って独りで食べた。 両親とメッセージのやり取りをし、義母と電…

気乗りしない帰省

久しぶりに実家に帰省した。 日帰りできる距離なのだが、どうも気乗りせず、足が遠のいている。 元気な姿を見せて安心させたい・・・とは思うのだが、実家へ行くとどうしても妻と2人で訪れた時のことを思い出してしまい、なかなか笑顔を作れない。 最後に2…

最後のカレー

妻が遺してくれた最後のカレーを食べた。 優しい味がした。 それは妻が意図的に遺してくれたものではなく、まだ妻が普通に料理をできていた頃の、何でもない普通の日に作った普通のカレーを冷凍していたものだ。 カレーの他にも、キーマカレーやらハヤシやら…

クレジットカードの退会

妻のクレジットカードの退会手続きをした。 すぐに退会しなかったのは、諸々の引き落としが残ったままだとその手続きが面倒そうだったので、それらの解約やら変更やらの手続きがすべて終わってからにしようと思っていたからだ。 最後に残っていたのはメール…

ゴミ収集日の憂鬱

独りになってからゴミの量が減った。 生活者が一人減ったのだから、それに応じてゴミが減るのは当然のことなのだが、収集日が近づくと、3分の1ほどしか溜まっていない45リットルのゴミ袋を見て寂しくなる。 以前は一杯になっていたのに。 単純計算では半…

「つまらない」ということに気づく

妻を看取ってからもう2ヶ月以上経つが、いまだに時々涙が出る。 今日は風呂に入っている時、「つまらないなぁ・・・」と独り言を呟いたら涙が溢れてきた。 そうだ、自分はつまらないと感じているんだ。 こんな簡単なことに今さら気づいた。 妻とは何でも話…

胡蝶の夢

夢を見た。 妻に伝えたかった言葉、それを伝えられないまま妻を看取った。 悲しい気持ちで目覚めると隣に妻が寝ていた。 タイマーで点いたテレビの音声が居間から流れてくるが、今すぐにでも伝えたい。 両手を妻の頭に添え、額を寄せてその言葉を囁いた。 「…

別れを告げる日

グリーフ体験記⑨

おちょぼ口

グリーフ体験記⑧

「第二の患者」について

がん患者の家族は「第二の患者」ともいわれます。 このブログはもともと「第二の患者」としての自分を奮い立たせたり、悩みを吐露したりするためのものとして始め、同じような境遇にある方とのゆるい繋がりを持つことも目的としておりました。 その後、状況…