CVポート

妻がCVポートを埋め込みました。

妻は手術を受けることを躊躇していましたが、今はやって良かったと思っています。

妻の気持ちが少し前向きになったからです。

そうなったのは、主治医の言葉のおかげでした。

 

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CVポート

当初、妻は体内に異物を埋め込むことに抵抗感を持っていました。

また、治療法を変更するということは、病状が一歩進んだことを意識させられることになるため、受け入れるのに時間がかかりました。

ですから、以前に勧められたときは、それを断り、腕からの点滴を続けていました。

 

しかし、血管や皮膚への影響が強い抗がん剤を使うことになり、CVポートを強く勧められることになりました。

看護師から、妻は血管が細い方なので、このまま次の抗がん剤を使用するのはリスクが高いと言われ、受け入れることを決断したとき、主治医がこんなことを言いました。

「CVポートは一度入れると数年は使えるものですし、他の抗がん剤でも必要になる場合があるので・・・」

 

再発してからというもの、治療方法について、あとどれくらいの選択肢が残されているのか、つまり、どれくらいの時間が残されているのか、常に不安に感じながらも、はっきりと聞くのが恐ろしすぎて、目を背けてきていました。

もしかしたら、選択肢は少ないのかもしれない・・・そのように考えてしまうことを止めることができませんでした。

 

しかし、この時の主治医の「数年は使える」という言葉は力強き響きました。

(先生は少なくともあと数年は一緒に闘おうとしてくれている・・・)私たちにはそのように感じられました。

「他の抗がん剤でも・・・」ということは、選択肢がまだたくさんあるということを意味します。

 

いつも言葉数が少ない主治医ですが、その分、ひとつひとつの言葉は良く吟味されて発せられているように感じます。

患者を傷つけるような言葉を聞いたことは一度もありません。

そんなことは当たり前と思われる方もいるでしょうが、妻は初発の際に最初にかかった医師から心ない言葉をかけられ、それ以来、医師への不信感はなかなか拭えません。

 

現在、私たちが居住している地域には専門医が1人しかいませんが、その1人が頼りになる主治医で本当に幸運だったと感じてます。

医療者の皆様には、自分達が発する言葉の重みを自覚していただき、患者を励ます言葉を掛けること、少なくとも傷つける言葉を発しないことを心掛けていただきたいと切に願います。

 

そして、主治医の言葉に傷ついた患者の方々がもしもこの記事を読んでくださっていましたら、どうか、そのせいで治療そのもののを止めてしまうことのないように。

都会にお住まいなら、思い切って病院を変えるという選択肢もあります。

専門医が少ない地方では選択肢が限られますが、それでも治療することにはメリットがあります。

良いことの方に目を向け、無治療になることのないように願っています。