秋の休日、妻が久し振りに外出に前向きになったので、日帰りの小旅行に出かけました。
妻にとっては良い気分転換になったようですが、私の心は少し乱れました。
楽しい旅行の裏には・・・
以前は年に数回ほど訪れ、景色を楽しんでいた場所。
今は妻の調子が良い時と休日とがうまく重なってくれないと、簡単には行けない場所になってしまいました。
ずいぶん遠くなったように感じます。
久し振りの風景を妻は楽しんでいましたが、私の注意はどうしても妻の方に向いてしまいます。
次にここに来られるのはいつになるんだろう・・・
今はコロナの心配もあります。
以前はお気に入りのレストランでランチを食べ、デザートにケーキを楽しんでいましたが、コロナに怯える妻は外食を極力避けたがります。
今回は家から持って行ったものを車中で食べ、景色を眺めるだけの旅になりました。
コロナの心配をせずに気軽に外食できるようになるまで、妻は元気でいてくれるだろうか。
以前と同じように楽しめる日は来るのだろうか。
独りになった後、ここを訪れることはあるだろうか。
妻を思い出すために、思い出の地を巡ったりするのだろうか。
・・・などと考えながら、平静を装って「いい景色だね」と話します。
その日の夜は、なかなか寝付くことができませんでした。
「第二の患者」特有の悩みかもしれませんね。
とは言え、こんなことは初めてではないので、自分なりの対処法も身に付いています。
「第二の患者」になって日が浅い人の参考になるかもしれないので、その対処法を書き留めておきます。
その方法とは「日常生活を送ること」です。
特別な方法ではなく、がっかりさせたかもしれませんが、経験上、これが一番です。
妻の病気とは関係なしに過ぎていく日常があること、それを体に無理やり実感させてしまうというようなイメージです。
日々の暮らしを病気と切り離して考えられると良いのかもしれませんが、妻に対する後ろめたさのようなものを感じてしまい、あまり上手くいきません。
だから、先に行動を起こしてしまって、それに心が後から付いてくるのを待ちます。
私の場合、今回は2〜3日で落ち着きを取り戻すことができました。
もしも、仕事に行けるだけの元気があるなら、休まずに仕事をしたほうが良いと思います。
家事をするのもいいかもしれません。
最初はいつも通りのパフォーマンスは発揮できないかもしれませんが、ルーティンワークならある程度こなすことができるでしょう。
先のことは考えず、「今日1日を乗り切る」を繰り返していきます。
そうしているうちに、徐々に日常が戻ってくるはずです。
それでもなかなか心が落ち着かない時は、日記を付けるのがいいかもしれません。
私の場合、妻の再発が分かってからしばらくの期間、日記を付けていました。
日記と言っても、何時に起きたとか、何を食べたかなどのメモのようなもので、記録と言ったほうが正確かもしれません。
その時の心理状態などは無理に書こうとはせず、書ける時には書くという程度にしました。
再発を知った時は、ショックが大きすぎて、生活をしている実感が乏しくなり、悪い夢の中から抜け出せないような感覚でした。
日記を書き始めたのは、日々の記録を残していくことで、自分が日々の生活を送っていることを実感することが目的でした。
しばらくは毎日書いていたのですが、少しずつ書くのを忘れる日が増えていき、今はほとんど書くことがなくなっています。
私の場合、日記が続くかどうかが自分の心の回復を知るためのバロメーターにもなるようです。
人それぞれ状況が違いますから、私の方法が役に立つかは分かりませんが、少しでもご参考になれば幸いです。